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カタログギフトのたき新 > 体験ストーリー > 体験ストーリー「こころのトゲが消えるとき」

「子供を産めば 変われると思ってた」

息…してる? あまりに静かに眠っている私の赤ちゃん、 悠人の掛け布団をそっとめくって、 胸が動いているのを見て私はほっとした。 悠人の反対側では、夫が大いびきを掻いて眠っている。 このいびきのせいで悠人の寝息が聞こえないんじゃない? 横向きになると一時的にいびきが止まるのを知っている私は、 夫の背中を力いっぱい押して横を向かせた。 「私、何してるんだろう」 ふいに涙があふれた。 赤ちゃんに対しては心配しすぎるほど心配して、夫に対してはイライラして。 赤ちゃんが生まれること、私あんなに楽しみにしてたのに。 結婚も出産も、妹の今日子が先だった。 「おめでとう!」と口にしながらも、本当は悔しかったし焦っていた。 そんな私も、結婚して、そして、子供ができて。 赤ちゃんが生まれること、楽しみにしてたのに。 やっと妹と同じ立場になったのに。

   
「器用な妹と不器用な私」

今日子は私と3つ違いで、すごく要領の良い子だった。 真面目で何にでも真剣に取り組む私と違って、 今日子は自分にできないことはすぐに誰かに頼んだり甘えたりしたし、 親が不機嫌になるとうまく愛想をふりまいて ご機嫌をとっていたから私より叱られる回数も少なかった。 一方、私は妹が生まれたときから 「お姉ちゃんなんだから」と言われて様々なことを我慢した。 わがままも言わず、親に褒められたくて注目してほしくて、 私は優等生の道を選んだ。 新学期にクラス委員長になれば母親は喜んだし、 何かで表彰されればその日一日ご機嫌でいてくれた。 だから私はずっと頑張ってきた。勉強も、 苦手な運動も努力した。 私と反対に、中学生頃から今日子はほとんど勉強しなくなった。 派手めの友達と夜まで遊ぶようにもなった。 正反対の学生生活を送りながらも、 家の中では私たちはごく普通に姉妹として話もしたし、 とくに避けていたということもない。 私は遠方の国立大に合格し、18才のとき家を離れた。 大学を卒業した私は都内の旅行会社に就職した。 実家の近くには希望するような会社がなかったので帰る気はなかった。 今日子は地元の高校卒業後美容師の専門学校に進み、 中退して居酒屋に勤めていたらしい。

「結婚するよ~」絵文字だらけのメールが妹から届いたのは、 私が大学時代からつきあってきた彼と別れた直後だった。 大学卒業後5年もの遠距離恋愛の末、 彼は別の女性と付き合いだしたのだった。 「おめでとう!」返信を書きながら私は泣いていた。 複雑な心境が伝わらないように、絵文字だらけにしてごまかした。 今日子らしい「おめでた婚」で、その年に今日子は出産した。 父も母も「しょうがない子だよ」と言いながらも 嬉しそうな様子で、私はそのことにもひどく傷ついた。

   
「もう一人で頑張り過ぎないで良いんだよ」

私が夫と結婚したのは今日子の結婚・出産から5年後になる。 それから3年間子どもができず、やっと迎えた赤ちゃんなのだ。それなのに。 可愛いけれど心配になりすぎるし、それなのに泣き続けられるとイライラもする。 再びいびきをかき始めた夫に反応するように、 赤ちゃんが泣き出した。 1時間ほど前にたっぷり飲んで寝たから、お腹が空いているのではないはずだ。 オムツを交換しても泣き止まない息子を私は抱き上げた。 その時、メールの着信音が鳴った。 片手で息子を抱きながら見てみると今日子からだ。 「カタログギフトありがとうね!ラッシュのバスボムでストレス解消~!!」 悠人は泣き続けている。夫を起こさないよう部屋を出た。

そして、私はスマホを操作する。 「お姉ちゃん!どうしたの?こんな時間に」 「ごめん、今日子…」 「あ、ゆうちゃん泣いてるね。大丈夫?どうした?」 今日子の優しい声に私も泣きだした。 「え?お姉ちゃんも泣いてるの?どうした?話して」 「今日子、私、悠人のこと可愛いと思えないときがある」 誰にも言ったことがない言葉なのになぜか妹に対してはすんなりと口にできた。 「あったりまえだよ~!!誰だって育児は大変だよ。 お姉ちゃん、真面目すぎ!!」 「私、ずっと今日子がうらやましかった。 私も早く結婚して子供産まなくちゃって、焦ってた」 もはや何が言いたいのか自分でもわからなくなっている。 「お姉ちゃん。私こそお姉ちゃんがうらやましかったよ。 頭良くて、優等生で。 ちゃんとした会社でバリバリ働いてて。 私何やってるんだろうって、お姉ちゃん見るたびに思ってた」 そうだったんだ。 今日子も私のことうらやましいと思ってたんだ。知らなかった。 「カタログギフトでさ、私はすぐに自分のためだけのものを選べるでしょ。 家族のためや子供のためじゃなくて、これは自分へのご褒美にしよう!って。 でもお姉ちゃんならきっと、 家族が喜ぶものとか両親へのプレゼントとか選んじゃうんじゃない?」 確かにそうだと思う。涙声で「うん」と頷く。 「それって立派なことだけど、もうお姉ちゃん充分頑張ってきたんだからさ、 ちょっとは自分のために生きてもいいんだと思うよ」 妹にそんなことを言われるのは初めてだった。 声をあげて泣きだした私に驚いたのか、悠人は泣き止んだようだ。 「お姉ちゃん、私明日仕事休みだから。 一日ゆうちゃん預かるからね。好きなことしておいで。自分のためにね」 すっかり大人になった今日子に驚きながら、 私はまた涙声で「うん」とこたえた。

   

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